本研究では、社会資源の乏しい過疎地域における障害乳幼児とその親への援助システムはどのようにあるべきかをさぐるために、北海道のいくつかの地域をとりあげ、母子保健活動、療育活動、相談活動、親の会などによる自助活動の状況、問題点などを明らかにしようとした。 とりあげた地域は、北海道北部に位置する名寄地域(5市町村)、宗谷地域(10市町村)、北海道東北部・北見地域(5市町村)であるが、これら地域の母子保健関係者、療育関係者、自動相談所員、親の会関係者などにより資料収集、ききとり調査を行った。調査対象とした地域のうち、全市町村からの資料収集、ききとりを終了した名寄地域にかんしては、「名寄地域における乳幼児療育の現状と課題」と題して、(1)母子保健活動、(2)療育資源の状況、(3)相談・助言活動、(4)親の会活動、(5)今後の課題と提言の項目にまとめ、資料の生理を完了した。その他の地域については、離島部などの一部未調査町村を残しているが、大部分の市町村のききとりを終え、その一部は聞き書き資料としてまとめている。 又、都市部に設置されているより専門的2次療育・相談機関、3次療育。相談機関(医療機関を含む)が、過疎地域の療育活動にどのような役割をはたしえているのかをみるために、関係機関の業務報告などの資料の収集、一部関係者からのききとりも実施した。 これらえられた資料を参考に、療育事業の広域的な展開状況と療育資源の分布状況を明らかに、2次・3次療育機関が過疎地域に対して実施している援助活動の現状とその問題点、とりくむべき課題を検討した。
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