研究課題/領域番号 |
01510202
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
日本史
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
佐々木 隆爾 東京都立大学, 人文学部, 教授 (10086944)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1989年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 地域共闘組織 / 政策浸透組織 / 農業協同組合 / 勤評闘争 / 安保闘争 / 保守党(自民党)地方幹部 |
研究概要 |
この研究の核心は、勤評闘争、警職法反対闘争、安保闘争等1950年代末から1960年代初頭にかけての民衆運動の基盤となった地域共闘が全住民の参加する運動とならなかったという事実に着目し、この要因を地域における政策浸透組織のあり方に求めようとするものである。今回はこの代表的な事例として愛媛県・高知県の農業協同組合を取り上げ、立ち入った検討を加えた。今回の調査で解明できた最も重要な点は、地域共闘を構成した諸組織と農業協同組合傘下の農民とは結局強い交点を持つことがなかったということである。 地域共闘に参加した諸組織は公立学校教員を主力に、県市町村の職員労働員、公費で失業対策事業に雇用されていた労働者とくに全日本自由労働組合のメンバ-、部落開放同盟のメンバ-などによって構成されていた。これに対して農民はこうした共闘組織に参加することができない状況にあった。それは第一に1950年代半ば以降になり食糧事情が好転すると米作・麦作中心の主穀農業では収益が挙がらず、園芸農業に進出するようになった。その結果労力が非常に多くかかるようになり、機械等の省力技術の導入が不可避となった。また第二に、そうした技術革新を行おうとすると農協、農業試験場、農業相談所、農事研究会等に依存するほかなくなった。第三に生活改善運動も教組の影響から離れ農協婦人部によって推進されるようになった。第四に農業・潅漑水路の整備土地改良、栽培方法の機械化・化学化を実現するために補助金・融資を受けざるを得ず、農協・信用組合等この分野の政策浸透組織が保守党地方幹部の手に握られたていたこととあいまって、農民達はその政治路線に迎合するほかなくなったのである。地域共闘組織のメンバ-はこうした組織から排除され、指示や思想的影響を農民に伝えるパイプを持ち得ず、安保闘争の最盛期でさえも農民はこれら政策浸透組織に掌握され続けたのである。
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