研究課題/領域番号 |
01510228
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
西洋史
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
古山 正人 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (20181472)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1989年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | スパルタ史 / 古典期スパルタ / リェクルゴス体制 / モタケス / アゴ-ゲ- / トロフィモイ / ネオダ-モ-デイス / 女子相続権 |
研究概要 |
本研究は古典期スパルタ史研究の欠を埋めることを目的とした。即ち、いわゆるスパルタ帝国と呼ばれるスパルタの政治的影響力の最盛期が、逆説的にもスパルタの「リュクルゴス体制」解体が多面的に進行した時代であることを闡明することを目的とした。まず1989年9月に『歴史学研究』に公表した論文に推敲を加えて英文化し欧米の学会に成果を問うこととした。その骨子はこうである。モタケス制度は父親の政治的、社会的、経済的失敗のためにアゴ-ゲ-をその半ばで中断せざるを得ず市民権を失うことになるスパルタ市民の子弟を救済する制度であった。しかしスパルタ当局はこの制度の活用が最も要請されるときにこれを怠り、政治・社会改革の必要性も理解しなかった。当局はモタケス制度に範を取ったトロフィモイ制度を新設して庶出子と外国人を兵士として起用して、ヘイロ-タイを活用するネオダ-モ-デイス制度の併用で深刻な兵力の不足を乗り切ったが、それはスパルタの抱えた病弊を解決するものではなく、スパルタの急激な没落の一因であった。 市民人工の減少に関しては、スパルタ大地震の影響を軽く見積もるCartledgeの見解に対して最近FigueiraやHodokinsonはそれを重視する見解を提示した。後二者の論証を子細に検討する作業をさらに進めたい。いずれにしても土地所有制度と女子の相続権の問題が決定的に重要である。スパルタの土地の五分の二が女子の手にあったというアリストテレスの記事やこの度の研究で見い出したデルフォイの神殿修復資金を提供したスパルタ女性の存在を示す碑文から前360年代に女子が相続権を有したことは確実である。問題はCartledgeやHodokinsonの主張するように初めからそうであったのかFugueiraの主張するように古典期に生じたものなのかであるが、これは今後の課題である。さらにスパルタの「平等者体制」が実質をもったのか、二王家を頂点とした庇護関係が無視できないものであったのかも今後の研究課題である。
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