研究概要 |
予定通り、明治から昭和にわたる日本近代小説を検討した。 1,明治初期から現代にわたる主要作家の代表作に絞り,次の作業を行ったー(1)登場,退場およびクライマックスの場面を主とする女主人公のしぐさと表情さらには服装,小道具,背景,環境等の典型的な場面をカ-ドに取る。(2)男主人公についても同様の作業を行う。(3)必要に応じて,その他の人物も取り上げ,これに関連づける。 2,国立国会図書館・日本近代文学会館をはじめとする全国の図書館・研究資料室に実地調査に赴き,極力初出誌・初版本によって作家の表現意識を探るとともに,挿絵等にも当たって当時の時代相を確かめた。重要な資料はカメラおよびビデオにも収めた。 3,M・L・ナップ著「人間関係における非言語情報伝達」(1983年,東海大学出版会),リ-ジャ-・ブロズナハン著「しぐさの比較文化ージェスチャ-と日英比較」(1988年,大修館)をはじめとする,比較文化論,しぐさ論,服装・風俗論等の諸文献にあたり,理論的な検討をすると同時に,作品分析の方法を再吟味した。 4,「浮雲」「舞姫」「たけくらべ」「照葉狂言」「金色夜叉」「破戒」「田舎教師」「あらくれ」「細雪」「墨東綺〓」「暗夜行路」「或る女」「地獄変」「雪国」「武蔵野夫人」「金閣寺」「砂の女」「万延元年のフットボ-ル」「沓子」等の近代小説の代表作を重点的に分析した。 5,上記を検討して,コンピュ-タ-分析の基本的なサンプルを作り,これをもとに全体的な展望を拓こうとしている。写真・ビデオの結果との組合わせも進めている。 6,これらの作業から得た直接・間接の成果をもとに,別記のような著書および論文等を発表した。
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