研究課題/領域番号 |
01510287
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
独語・独文学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中村 志朗 東北大学, 文学部, 教授 (50004031)
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研究分担者 |
窪田 真治 東北大学, 文学部, 助手 (90225201)
原 研二 東北大学, 文学部, 助教授 (60114120)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1990年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1989年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 喜劇 / ゲ-テ / 道化 / 大コフタ / ハイネ / ライムント / ネストロイ / アンツェングル-バ- / ネ-ストロイ / ドイツ喜劇 / 通俗演劇 / クライスト / レッシング / ウィ-ン民衆劇 / 文学的喜劇と通俗喜劇の分極化 |
研究概要 |
近代ドイツ喜劇の成立と展開に関する諸問題について、次のように成果が得られた。 1.研究代表者は、特に、ゲ-テの時代におけるドイツ喜劇の成立の過程を検証し、ゲ-テの喜劇創作の中途半端な性格と、それが後のドイツ喜劇の発展に与えた影響を、『大コフタ』の分析を通して明らかにした。この作品を、ボ-マルシェの喜劇と、モ-ツァルトのオペラ・ブッファを両極とする視点から観察すると、それが喜劇とオペラの性格を合わせ持ち、そのどちらとしても中途半端に終わってしまっていることが明らかになる。この作品の中途半端な性格は、ゲ-テの喜劇的才能を開花させるだけの社会的条件ないし要件が整っていなかったことに由来し、このようなゲ-テの喜劇の分野における不首尾は、近代ドイツ喜劇の成立と展開に負の影響を与えることになった。 2.研究分担者(原)は、オ-ストリア民衆劇における喜劇の諸相を、特にハンス・ヴルスト以来の道化役に注目することで明らかにした。19世紀のライムント、ネストロイ、アンシェングル-バ-の三者の作品において、道化は、「最上の世界」における演技者から、あらゆる意味の崩壊する空間を跳梁する存在を経て、現実を冷静に見つめて思考を促す存在へと変化する。このような変遷する道化像には、社会の変化が明らかに反映し、同時に、ドイツ喜劇の発展にとって、オ-ストリア民衆劇が逸すべからず一章を形成することが証明されている。 3.研究分担者(窪田)は、ロマン派における喜劇と、喜劇的要素を検討し、従来余り注目されていないハイネの作品における喜劇的要素を、特に道化的要素を確認することで明らかにした。そのことは、ジャンルの別を越えて、喜劇的な要素が広くロマン派の時代の作品に浸透したことを例証する。
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