研究課題/領域番号 |
01520019
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
民事法学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
林屋 礼二 (林屋 禮二) 東北大学, 法学部, 教授 (90004168)
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研究分担者 |
三條 秀夫 東北学院大学, 教養部, 助教授 (80196336)
山本 和彦 東北大学, 法学部, 助教授 (40174784)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1991
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研究課題ステータス |
完了 (1991年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1991年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1990年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1989年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 民事執行法 / 不動産執行 / 不動産競売 / 強制執行 / 実態調査 / 不動産登記簿 / Land Register |
研究概要 |
民事執行法下での不動産執行事件の実態を調査するため、[A]東京・仙台・福島・青森各地裁における事件記録の閲覧調査、[B][A]調査対象物件の一部についての登記簿調査、を行なった。そのうえで、両調査を通じて収集されたデ-タをコンピュ-タ入力によりデ-タベ-ス化し、個別的・総合的に分析した。 [A]調査により得られた知見:(1)民事執行法による不動産執行手続は概ね良好に運営されているが、各手続段階の所要期間が通常担保物を私的に売却する場合と比較すると長く、ときに占有調査等の提出期間の超過も散見される点で、いまだ改善の余地がある。(2)旧法時代と比較すると、手続関係者や対象物件の属性が相当に変化してきている。すなわち、かつては中小事業金融の債権回収手段として利用されてきたが、現在はむしろ住宅ロ-ンなど消費者金融の債権回収手段へと重心を移していると思われる。(3)各地裁での手続運用に相違のあることが明らかとなった。また、その原因は各地域の社会的・経済的特性に由来していることも実証された。しかし、手続の性質上、一般的には全国統一的な運営が望ましいと思われ、地域的特性に応じた弾力的運用をいかにすべきかは、今後の課題である。 [B]調査により得られた知見:(1)配当・弁済金交付事件については、各地域とも競落後に物件が転売される傾向がある。ここから、競落人の多くは一般市民ではなくて転売目的の中間業者であることが推測される。ただし、福島・青森では、競落人の自己使用を推測させる転売なしのケ-スもある程度存在する。(2)取下事件については、東京・仙台では終結に前後して任意売却される傾向が顕著なのに対し、福島・青森では抵当権者のあきらめによる取下げの存在が推測される。(3)民事執行制度への中間業者の関与が強いことが推測されるが、彼らは旧法時代のブロ-カ-とは形態を異にすると思われる。(4)強制競売事件においても所有権移転率はかなり高い。ただし、その原因は、専ら同一不動産上にある抵当権の被担保債権の不履行にあると考えられる。他方、強制競売申立ての取下げに際し、差押債権者が登記抹消料名義の下に抵当権者から債権回収を図る方途の存在も推測される。
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