研究課題/領域番号 |
01520032
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
政治学
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
森山 茂徳 新潟大学, 教養部, 助教授 (50107497)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1989年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 強権政治 / 社会的流動性 / 三一独立運動 / 限定的政治参加 / 民族運動分裂 / 動員体制 / 個人主義 / 伝統回帰 |
研究概要 |
日本統治下の朝鮮を三期に分け、政治的統合と民族的抵抗との関連の変化と、その体形化を試みた。 1.武断統治時代(1910-1918年)-政治的統合政策としては旧指導層の政治的影響力排除が意図されたが、それ以外は官僚・憲兵による強権政治であり、地方実情を掌握できなかった。このため、民族的抵抗運動は武力を封じられたが、旧来の知識人や宗教人を中核として結集することが可能であった。交通・通信網の整備等で社会的流動性が増大したことが、全国的規模の三一独立運動を可能とした。総督政治は再考を迫られる。 2.文化統治時代(1918-1931年)-政治的統合政策としては言論機関の限定的認可、公共事業、農業改善等、総督政治の受益層の創出、地方エリ-トの掌握、限定的政治参加が意図された。このため、民族的抵抗運動は分裂する。また旧来の指導層の政治的影響力の喪失と民族運動指導者の世代交代は、総督府の操縦もあり、海外亡命者と国内残留者、民族主義者と共産主義者、経済的富裕層と貧困層などの様々の対立を生み出した。 3.大陸基地化時代(1931-1945年)-政治的統合政策としては戦争遂行に伴う動員体制の整備のため、法的秩序維持等の社会統制の強化、末期には徴兵と選挙権付与という手段が用いられた。民族的抵抗運動はもはや国内で公然たる活動はできず、統制強化は組織の存続を脅かした。総督政治の受益者、支持者以外にも、表面協力、裏面抵抗の対応が増大した。経済的格差と流動性の増大は、対人不信感と伝統思想回帰を生み出したのである。 日本の政治的統合政策は集団・組織を対象とした。民族的抵抗運動は組織・集団としては次第に逼塞していったが、担いてを変え路線対立を生みながらも続けられたが、個人主義が支配した。また、総督政治への対応経済的格差と社会的流動性の増大は、運動を分裂させ、伝統への回帰をもたらした。戦後はここから始まった。
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