研究概要 |
成果報告書は4つの論文を収録している。 第1論文は、従来「政党支持」の研究であまり問題にされることのなかった「支持」の概念をあらためて問題とし、これを分析するとともに政治システムへの入力としての支持の一般的概念との整合化をはかったものである。この関連で「支持システム」の概念の重要性が指摘されている。理論的には、パ-ソンズのアメリカ政党制分析が再評価され、政党支持研究を、従来よりもマクロな文脈に置いて見直すべきことが主張されている。 第2論文は、選挙制度の違いが選挙結果や政党組織にどのような変化をもたらすかを日本とイギリスの場合を比較しながら検討したものであり、そのさい、最近わが国で議論をよんでいる選挙制度改革論が具体的な材料としてとりあげられている。 なお、わが国における政党勢力と政党支持が1970年代以降どのように変化してきているかを、衆議院議員総選挙のデ-タを用いて 全国130選挙区について分析したが、その成果は論文としてまとめるにいたっていない。近く発表の議会を得る予定である。 第3論文と第4論文は政党勢力の変動の問題に、間接的アプロ-チを試みたものである。すなわち安定・不安定,均衡・不均衡という理論的な概念を政党システムの分析に適用するための準備、あるいは本研究の基本テ-マへの迂回的なアプロ-チである。 第3論文は政党勢力の変動の分析枠組を、より一般的な角度から考えなおすためのものであり、第4論文は戦争という特殊な角度から政治勢力の衝突をとらえなおし、変動の数字的モデルを構成するための手がかりを持っている。
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