1.実態調査の実施 わが国の医療保障政策において、昭和60年改正医療法に基づく都道府県保健医療計画の策定および昭和63年改正国保法による国保財政安定化計画の実施は、ともに画期的な意義をもっている。本研究はこの二つの政策を相互的関連においてとらえ、その実施状況、この政策が地域社会・地方自治にもたらすプラスとマイナスの効果等を調査しようとするものであった。 本年度に実施した調査対象地域は、(1)鹿児島県鹿児島市および加治木町、(2)福島県郡山市および須賀川市、(3)福岡県北九州市、(4)岩手県盛岡市、花巻市および石鳥谷町、(5)兵庫県神戸市および明石市、(6)大阪府大阪市、東大阪市および八尾市である。それぞれ、関係行政官庁、医療機関、医師会・保険医協会等医療関係団体および国保世帯から説明聴取、資料閲覧等を行なった。 2.調査結果の分析 現地調査で収集した資料やデ-タの整理・集計・作表の作業は年度内にほぼ終了した。また実態調査対象地域以外の北海道、秋田県、千葉県等につき関係機関に依頼して資料提供を受け、その分析も行なった。 実態調査から得た知見につき中間的・印象的な問題点を1〜2述べると、地域保健医療計画のベ-スとなる「必要病床」数の算定が概してアバウトであること、医療費の地域格差の主要因は「高額医療費患者」の発生にあり、しかもその発生には国保患者の高齢化と家族解体、極度の低所得などの「社会的」要因が強く作用していることなど、である。 3.研究成果の発表予定 平成2年度に「社会政策学会年報」および「専修経済学論集」に研究成果の発表を行う。
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