研究概要 |
近年,ディスクロ-ジャ-制度の拡充・強化に伴う開示情報の飛躍的増加により,会計士の開示情報に対する関与方式についても伝統的な財勢諸表監査に加えて,新たな会計士の関与方式が採られるに至っているが,その代表的な関与方式として,レビュ-制度がアメリかにおいては導入されるに至っている。そこで,本研究では次の3つの課題に焦点をあて,從来の伝統的な財勢諸表監査とレビュ-制度との比較検討を試み,監査概念の再構築をはかることを目的としている。 1.アメリカにおけるレビュ-制度の展開過程の研究 2.伝統的財務諸表監査とレビュ-に関する技術的問題の比較研究 3.伝統的財務諸表監査とレビュ-における会計士の保証程度の研究 これら3つの研究課題のうち,1については科学研究費補助金の申請前から研究を開始し、その成果は「レビュ-制度の研究(1)(2)(3)」として昭和63年に発表している。そこで平成元年度及び2年度においては,2及び3について研究した。2については,分析的手続を(1)趨勢的分析,(2)比率分析,(3)合理性テストに大別して,それぞれの技術的特質を検討し,またその機能については監査計画段階における注意指示機能,監査実施段階における代替機能,監査終了直前の段階における検証機能という多面的機能を有することを明らかにした。 次に3については,開示情報の増加に伴う会計士の関与領域の拡大により「異なる種類の保証」の概念を導入する必要性を提唱し,そのためには研究方法としてリスク・モデルアプロ-チを採ることが重要であるとの立場から,監査リスクの概念を分析検討し,それと密接な関連がある監査における重要性の問題について考察を加えた。レビュ-制度はアメリカにおいて中間財勢情報に対する会計士の関与方式として制度化されている。中間財勢情報制度研究の一環として本研究をさらに進めたい。
|