研究分担者 |
小林 亮一 東京大学, 教養学部, 助教授 (20162034)
岡本 久 東京大学, 教養学部, 助教授 (40143359)
谷島 賢二 東京大学, 教養学部, 助教授 (80011758)
堀川 潁二 東京大学, 教養学部, 助教授 (40011754)
菊地 文雄 東京大学, 教養学部, 教授 (40013734)
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研究概要 |
今年度の研究の大きな特徴は,理論物理学との関係で数理物理学の成果が多方面にわたって得られたことである。とくに,従来物理学とは直接関係があるようには見えなかった研究テ-マが,最近の進展により応用面での重要性がでてきたことがひとつの実績としてあげられる。 1.非線型可積分系を自然に導く方法としての,線型方程式系のモノドロミ-群を不変にする変形について興味ある結果が得られた。それは,線型微分方程式の定義域をリ-マン球面から楕円曲線上に拡張することにより,これまで知られていなかった可積分系が得られたこと,に代表される。この可積分系の解析が今後の研究課題となる。 2.非線型可積分系の最も重要な例であるパンルヴェ方程式について,そのいくつかの方程式の既約性の証明がなされた。さらに,従来の研究が理論物理学の研究に役立つことが解かり,興味ある研究課題を得た。 3.コンフィグレ-ション空間上の超幾何函数の理論について,これを具体的な多変数特殊函数に適用するとこれまで知られていなかった公式が系統的に得られた。従来複雑な計算を必要としていたものが自然に導かれるようになり,超幾何函数の特殊函数としての構造が透明になった。 4.数理物理学の具体的な問題について,以下のような成果が得られた。電磁波の偏微分方程式を近似的に解くため,有限要素法を適用するが,その収束のための判定条件が得られたこと,時間に依存するシュレ-ディンガ方程式について,解の安定性を含めいくつかの結果が得られたこと,流体力学の方程式と分岐理論について,これまで知られていなかった定常解が得られたこと。 5.幾学的手法による研究について,分岐をもつ曲面が球体の商空間になるかどうかという特徴付けが与えられた。
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