研究概要 |
線型符号との関連で代数多様体を研究することにより次の1から5の結果を得ることができた。 1.代数閉体k上の3次元射影空間PG(3,k)の3次曲面が可約であるための十分条件を導き、その応用としてPG(3,F_q)(F_qは標数2の有限体)のg-arcが(q+1)-arcに延長可能であることを代数幾何的に証明した。 2.PG(2,K_2)(K_2は標数2の代数閉体)の3次曲線のデスクリミナントD(次数12の既約斉次多項式である)を求め、3次曲線が可約ならDの偏微分が零になることを証明した。 3.PG(2,k_2)の3次曲線の不変多項式環はDと1次の不変多項式で生成される(標数が0のときは、4次と6次の不変多項式で生成された)。 4.PG(2,k_3)(k_3は標数3の代数閉体)の3次曲線のデスクリミナントDの存在とDが次数12の既約斉次多項式であることを証明するとともに、Dの求め方を発見した。 5.PG(2.k_3)の3次曲線の不変多項式環はDと2次の不変多項式で生成される。 雑誌SIMON STEVINに1の掲載が決定している。3、4、5は、平成元年度7月に開催される有限幾何とデザイン研究集会(英国ブライトン大学)の報告集(ロンドン数学会講義録の一冊)に掲載予定である。 今後の課題として、2を利用してPG(3,F_q)の(q-1)-arc定める4次曲面が可約であることを示し、このarcがq-arcに延長可能であることを証明すること、またF_qの標数が奇数のとき、PG(2,F_q)の6次曲線の研究により、PG(2,F_q)の(q-1)-arcの延長可能性を証明すること等が挙げられる。このことによって、低次元でのMDS符号の最大語長と、最大語長を有するMDS符号の分類が得られるからである。
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