1.課題(I)2次元Brown運動の自明でない両側平坦点(従来のつづらおり点より事情を適切に表わすため呼称をそのように変更した)の存在の証明 (1)初年度 Taylorの問題、すなわち、ランダムな直線で2次元Brown軌道をロ-カルに2分することができるか、について否定的な予想に至り(実際に存在しないことが昨年Khoshnevisanによって示された)、さらに2次元Brown運動の可能な限界挙動が標記の状況で見いだせるであろうとの感触を得た。そこでTaylorの問題(存在)に対する筆者のアプロ-チをそのvariaitionである標記の問題へ必要な修正のうえ適用させることを試みその概略を得た。(2)2年度 初年度得たアプロ-チの中の発見的な部分やあいまいな部分を埋めて証明を完全なものとし標記の問題を肯定的に解決した。そこで得たわれわれの定理は次のとうりである。"殆どすべての2次元Brown軌道に対して、いくらでもTaylorの問題の設定に近い両側平坦点が存在する" 2.課題(II)限界挙動を示す時点の集合の詳しいHausdorff測定の決定 Taylor&Wendel、Davis&Perkinsなど関連する文献の検討を行なった。ところで課題(I)の証明からHausdorff測度関数としてx→+0で1/|log×|^r(r>0)であるものを考えたとき、あるr_0>0でその集合のHausdorff測度が0<r<r_0に対して∞、r>r_0に対して0となるものがあることが予想できる。この予想の証明を引き続き進めたい。 3.その他 課題(III)については具体的に取り組むことが出来なかった。また従来から研究を進めてきた錐形領域内の滞在を条付けられた2次元Random Walkの極限定理の論文化を進めた。
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