江口は梁(京大基研)と共同で共形場の理論の変形問題を研究した。共形場の理論は臨界点直上の統計力学系とみる事ができるが、この系に摂動が加えられ温度、磁場々のパラメ-タが臨界値よりずらされた時の系の性質を調べる事が共形場の変形の問題である。有理型共形場の理論には有限個のprimary場が現れるが、これらの場を理論のハミルトニアンにつけ加えると場に共役なパラメ-タの値が変化する。例えは、イジング模型には2つの場ε(エネルギ-)、σ(スピン)が現れるが、εは温度と共役、σは磁場と共役で、ε(σ)をハミルトニアンにつけ加えて系を摂動すると温度(磁場)の値が臨界値より変化する。 江口と梁はビラソロ代数の離散ユニタリ系列に特定の方向((1.3)オペレ-タによるもの)の摂動が加えられた場合、系に無限個の保存量が残る事、更にこれらの保存量がsine-gordon理論の保存量に一致する事を見出した(PhyS.Letts.224B 373(1989))。また摂動をうけた理論のヒルベルト空間が実際sine-gordon理論の状態空間と一致する事を示した(プレプリント、UT-554、Phys Letts.に出版予定)。したがって(1.3)摂動の下のビラソロ離散系列はsine-gordn理論に一致する。同様にして、アフィンリ-環からコセット構成法で作られる共形場の理論も特定の方向に摂動をうけた時、可積分系となり、ソリトン理論で知られたToda field theoryで記述される。 我々の研究は共形場の理論とソリトン理論の関連を確立したもので、重要な原理的意義があり関連した研究が進展している。
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