研究課題/領域番号 |
01540249
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
核・宇宙線・素粒子
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
静谷 謙一 大阪大学, 理学部, 助教授 (50154216)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1990年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1989年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 異常項(量子異常) / カイラル対称性 / ゲ-ジ理論 / 電荷密度波 / エニオン(端数粒子統計) / KacーMoody代数 / 高温超伝導 / 量子ホ-ル効果 / 端数粒子統計 |
研究概要 |
対称性は保存則と密接な関係をもち、物理の各分野で重要な働きをする。対称性は量子効果により修正を受けることがあり、この現象を量子異常という。量子異常は古典論と量子論を本質的に隔てるものであり、量子論に特有な現象を解明する鍵となる場合も少なくない。この事実を踏まえ、我々は平成元年と2年の2年度に渡り、(1)量子異常をもつゲ-ジ理論の定式化を通して異常項の起源と役割を探るとともに、(2)物性物理の種々の量子輸送現象をゲ-ジ理論の見地から研究した。その内容は以下の通りである。 1.東北大の三宅氏と共同で異常項を持つゲ-ジ理論の研究を行ない、厳密に解ける2次元ゲ-ジ理論から始めて4次元の非可換ゲ-ジ理論の場合まで考察を進めた。ゲ-ジ異常項が力学的理由でゼロとなる状況が確かに実現することを確認した。また異常項が現われてもゲ-ジ理論の代数的構造が保たれ得ること、従って後者のほうがより基本的であることを示す議論を展開した。現在、さらに1通の論文を執筆中である。 2.(1)電荷密度波 1次元伝導体の電荷密度波の発生と加速の機構をカイラル対称性とその量子異常の観点から研究した。不純物、温度、フォノン分散の効果も考察した。特に、1次元電子格子系の長波長の構造にはkacーMoody代数に基づく局所カイラル対称性が現われることを指摘し、1次元系の電荷密度波の性格を明確にすることができた。この仕事はニュ-ヨ-ク市立大学の崎田教授との共同研究である。 (2)エニオン 高温超伝導現象と端数統計に従う励起(エニオン)の関係が現在注目されている。3次元ゲ-ジ理論の見地から端数粒子統計を考察し、長波長で現われる端数粒子統計が短波長では消失することを示した。 (3)量子ホ-ル効果 磁場中の電子を(1+1次元の多成分ディラック場として)記述する集団場の理論を構成し、ホ-ル伝導度の量子化の問題をベリ-位相との関連で考察した。現在、論文を準備するとともに、不純物効果の検討を進めている。
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