研究概要 |
p殻ハイパ-核の生成に関しては,配位混合の波動関数を求めた上で,(K^ー,π^ー),(π^+、K^+)の各反応について,まずアイコナ-ル近似による計算,次に始状態と終状態の解かれた中間子波を結合することによる反応断面積の計算をそれぞれ実行した.生成反応断面積の大きさ,反跳を正しく取り入れたときこの効果,散乱角による変動,各反応の励起関数の特徴などを詳細に議論し,実験とも比較検討した. 次の段階の重要な前進は,両反応について,スピン反転成分をも含む素過程の振幅を用いた新計算をし,断面積と偏極率の信頼に足る予測値を与えたことである.特に時期的にも平行して高エネルギ-研究所で, ^<12>Cを標的とする偏極ハイパ-核生成の初実験が行われたので,状態の偏極度および弱崩壊の非対称性の測定結果をめぐって理論的検討をし各種国際会議でも報告した.またGeV領域の(K^ー,π^ー)の可能性を議論しKAON時代への展望を示した. さらに,スピン反転成分が極めて重要な(γ,K+)反応についても,チェコスロヴァキアのグル-プと共同して生成断面積と偏極率の計算をした.非正常パリティ状態が強く励起される特徴を他の反応と比較した. π中間子的崩壊については,標準的な光学ポテンシャルに矛盾なく対応した繰り込み効果を含めて,p殻からPbに至る広い範囲のハイパ-核の崩壊確率の最終的理論値を確定し,Pauli抑制とπ歪曲波の交互作用や殻効果を議論した.また非常に軽いΛー及びΛΛーハイパ-核から3体連続終状態への崩壊強度を,KapurーPeierls法を適用して理論的に評価する方法を提起し,実験の存在するΛ^5He,Λ^4He,Λ^3Hに対する理論計算結果を議論した.またダブルΛ核の中間子的崩壊に適用し,その有用性を示した.
|