研究課題/領域番号 |
01540297
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物性一般
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川崎 辰夫 京都大学, 教養部, 教授 (40025367)
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研究分担者 |
宮下 精二 京都大学, 教養部, 助教授 (10143372)
冨田 博之 京都大学, 教養部, 助教授 (70025477)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1990年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1989年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 準安定状態 / ファジ-スピン / ランダムネス / TDGL / パタ-ン / シミュレイション / 三角格子反強磁性体 / 逐次転移 / 双極能率 / 三角格子 / 1次相転移 / ファジ-スピンモデル / 空間パタ-ン / 保存的TDGL / セルダイナミックス / 双極子能率 |
研究概要 |
準安定状態の存在は、系の動的性質を明らかにする上で重要な因子であるにもかかわらず、原理的な法則性が明かでないため、その研究は遅れ気味である。本研究は多くのモデルに立脚しつつも、常に準安定状態の影響を重点的に取り上げることを目的とした。 川崎は、フラストレイションを持つ系が示す多重な準安定状態の存在がただ単にランダムネスのみによっても実現可能であることを、ファジ-スピンモデルを提唱することによって示した。スピンの大きさのランダムネスは、スピンフリップにたいして、エネルギ-障壁をつくり、準安定状態の長時間緩和を導く。この緩和時間の系のサイズ依存性は、サイズに指数関数的となり、系の熱平衡状態への致達の困難さを示す。更に系のエネルギ-の緩和との相関を検討中である。 冨田は、2成分系の急冷不安定状態において生成されるパタ-ンについて、これを記述する保存的TDGL方程式(CahnーHilliard方程式)が熱的ノイズを除けば空間的等方性を保存する性質を持つことに注目し、セル動力学法によるシミュレイションを用いてこれを確かめ、構造関数の小波数域で観測されている4乗則と関連づけて論文として発表した。また、ランダムな統計的パタ-ンのトポロジ-に関する従来の研究成果を小報告としてまとめた。宮下は、複雑な相互作用(競合系、希釈系、ランダム系、量子系など)で、秩序状態の特徴を主にモンテカルロ法を用いて研究した。希釈系では、多重の緩和プロセスを持つために、全体的に非常にゆっくりとした緩和が生じるが、その様子を積分の形で表わしたモンテカルロシミュレイションのデ-タと比較した。また量子系では、低温で量子ゆらぎのため秩序パラメ-タの縮みが観測されるが、種々のパラメ-タのこの縮みへの寄与を研究した。競合系では、秩序パラメ-タは微妙なバランスの上に成立しており、多重に縮退した多くのモ-ドが共存している場合が多いが、これらの系についてもその静的・動的性質を研究した。
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