研究課題/領域番号 |
01540320
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理学一般
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
小泉 哲夫 立教大学, 理学部, 助教授 (90147926)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1990年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1989年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 電荷移行反応 / 脱励起反応 / イオンスウォ-ム法 / クラスタ-生成 / クラスタ-イオン / イオン・分子反応 / イオンスウォ-ム / イオン-分子反応 |
研究概要 |
本研究では状態指定したイオン分子反応の測定と、クラスタ-生成の測定を平行して進めた。イオン分子反応測定には、かねてから研究代表者が使用している液体窒素で冷却可能な入射イオン型移動管を用いた。クラスタ-イオン生成にはこの移動管を改造して用いることとした。 平成1年度にはKr^<2+>とNeおよび2原子分子(H_2、N_2、O_2、NO、CO)の電荷移行反応を10〜60meVのエネルギ-範囲で測定し、反応定数の電子状態依存性を明らかにした。例えばKr^<2+>とNeの系では^3P_3,^3P_1状態はほとんどLangevinの反応定数k_Lと一致しているのに、^3P_2状態になると約一桁小さい。この様な反応定数の違いは、始状態と終状態のポテンシャル交差に基づく2状態間遷移モデルで説明できる。 平成2年度に入って、Kr^<2+>がHe原子と衝突して脱励起する現象 Kr^<2+> (^1D_2) + He ーーー→ Kr^<2+> (^3P_1) + He を見いだした。反応定数k_aは衝突エネルギ-12meVで(6.9±1.0)×10^<-11>cm^3/secと得られた。これはスピンが保存しない反応としてはかなり大きい。これは初めて見いだされた反応であり、反応機構がよく解っていない。この系では適当なところにポテンシャル交差点が無いので、ポテンシャル交差のモデルでは反応機構を説明できない。事実電荷移行はこの系ではでは観測されていない。より詳細な研究が必要である。 その後、移動管の引出し側の質量分析器を電磁石を使用するものに改造し、クラスク-イオンの生成実験を行った。本研究では93KのN_2の中にN_2^+イオンを入射して生成クラスタ-イオン(N_2)_n^+を分析した。n=9のクラスタ-イオンまでが観測されている。n分布にいくつかの特長がみられる。 (1)n=3が際だって安定である。 (2)n=6も安定であり、n=7になると生成率は悪くなる。 (3)n=9は観測されるが、n=8はほとんど見えない。 この結果は(N_2)_n^+になんらかの殻構造があることを示している。平岡らは高圧質量分析計を用いて同様の(N_2)_2^+クラスタ-イオンを測定している。彼らのエンタルピ-変化の測定からはn〜10ぐらいまで特に殻構造を示すようなものは見つかっていない。この違いの原因は明かではない。移動管での実験は相対的には低圧での実験であるので、生成過程に違いがあるのかも知れない。今後より詳細な研究を進め、解離や電荷移行反応などの研究も進める。
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