先カンブリア時代の試料として、ナピア岩体に属するアムンゼン湾変成岩を使用した。ナピア岩体は最終変成年代として25億年の絶対年代が得られている。テリエ法により古地球磁場強度を求める実験を行った。300^<°C>以下ではアライダイヤグラム上ほぼ直線性が得られ、これが当時の熱残留磁化によるとすると10μT程度となる。600^<°C>付近では定磁場中加熱後の熱残留磁化が急増した。古生代の試料として、昭和基地及びモ-ソン基地周辺の変成岩について同様の実験を行った。昭和基地の7試料中、4個は強度の傾向を推定することはできなかった。残りのうち1個は325^<°C>までの低温部から78μT、2個は600^<°C>付近の高温部から92および100μTが計算できる。相関係数は0.75から0.85程度で悪い。昭和基地の試料からは古地球磁場強度は90μT程度になる。モ-ソン基地の3個の試料か低温部では残留磁化が減少せず、400^<°C>から600^<°C>までのデ-タを使用した。計算の結果は、0.9、0.9、1.0μTとなり、ほとんど0に近い値となった。モ-ソン基地の帯磁率は400^<°C>から明らかに変化しはじめて600^<°C>で1.4ないし1.9倍はに増加しており、磁性鉱物の性質に変化が起きた可能性がある。他の2地域の試料は帯磁率は未測定である。昭和基地とモ-ソン基地は、いずれも5億年の絶対し年代がでているが、当研究で推定された古地球磁場強度は0と90μTとなる。帯磁率の結果やダイヤグラムの直線部の短かさを考慮すると、3地域のいずれの値も意味を持たない可能性があり、今後、直線部の長い試料を探し出した上で、PTRMテストと帯磁率変化測定を行い、信頼あるデ-タとすることが必要である。
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