研究課題/領域番号 |
01540345
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
気象・海洋・陸水学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
竹松 正樹 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (50038535)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1989年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 海洋大循環 / 実験室モデル / 熱塩循環 / 風成循環 / 西側強化機構 / 南極周極流 |
研究概要 |
円型回転水槽内において、その側壁を冷却することにより純粋な熱塩循環流を生成し、流れの基本的な性質を調べた。実験は冷却を受ける内小円筒の外側の流れ(南極周極流モデル)についてもおこなわれた。なお、本物の気流を用いた新しい風成循環の生成法を考案し(重要な成果のひとつ)、熱循環に及ぼす風応力の影響も調べた。以上の実験により得られた主な成果は次の通りである: 1.熱塩循環の正味の(深さ方向に積分した)流量はゼロであるという循環論の仮説は誤りである。風成循環と同様、熱循環流も正味流量を持つ。このことは、冷却の方法、底面傾斜の有無、パラメ-タの範囲に関係無く(自由表面を持つ限り)常に成り立つことを示した。 2.熱塩循環はコリオリ係数の緯度変化(βー効果)により必ずしも西側強化されるとは限らないことを見いだした。実際、東側境界強流も作られうることを示した(この発見は最後の成果5.に結び付く)。 3.冷却により沈降する重い水は北(南)半球では常に岸を右(左)に見て進む。これはfー面に固有の性質であり、βー効果には関係しないことを示した。従って、海洋深層には西岸流もあれば東岸流も有るはずである(実際、東岸深層流が観測されている)。βー効果により西岸流のみが存在しうるというStommelの推論は誤りである。 4.南極周極流の主要な性質はfー面上の熱塩循環のみによって説明しうることを示した。 5.北(南)半球では北(南)部を冷却するだけで、βー効果の有無に関係無く、正味の流量が西側に集中した熱循環流が生成されることを示した。この発見は、海洋循環の西側強化はβー効果によるというこれまでの定説に疑問を投げ掛けるものである。この部分の研究はまだ予備的段階にある。
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