研究課題/領域番号 |
01540379
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理化学一般
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山内 昭 九州大学, 理学部, 助教授 (10037260)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1989年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 液膜 / 逆輸送 / 両性イオン交換膜 / ドナン塩 / イオン透過過程の加成性 |
研究概要 |
1.オクタノ-ルに抗生物質の一つであるモネンシンを少量添加して作った溶液をミリポア膜に含浸させるとその膜は液体イオン交換膜としての機能を持つことは既に報告した。またオクタデシルアミン塩酸塩を担体として用いると、その膜はアニオン交換膜として機能することを示した。先にこれらの膜を用いて、その膜の両側に等濃度の電解質溶液を置いた場合、酸・アルカリ中和反応の共存の下でイオンの一方向の流束を観測し、その物理化学的解析を行なった。今回はオクタデシルアミン塩酸塩膜についてその両側の電解質溶液濃度が異なる時、低濃度側から高濃度側へのイオン輸送が中和反応と連結して生じているのを観測し、この種の膜が実際に汚染物質の除去等に有効であることを示した。 2.膜内にカチオン及びアニオン交換基を合わせ持つ両性イオン交換膜は通常のイオン交換膜とは異なる膜現象を発現する。この膜は膜内のみかけの電荷密度が低いため、その膜内に多量のドナン塩が侵入するという知見を膜内濃度の実測より得た。一方、膜電位より求められる膜内イオンの輸率は外部電解質溶液の濃度の増加と共に減少した。また膜伝導度は膜内ドナン塩濃度と共に増加した。この3つの物理量の間の関係を詳しく調べ、次の結論を得た:膜内には二種類の独立なイオン状態、即ち膜内イオン交換基と強く相互作用したところのイオン透過過程とドナン塩として存在しているところのイオンの透過過程があり、その間に加成性が成立しているという知見が得られた。以上の結果に基づき、外部溶液が混合電解質からなる場合の膜伝導度を理論的に予測したところ、実験結果と極めて良い一致が得られた。更に膜内ドナン塩の挙動を定量的に知るため、ドナン塩を構成している各イオンの移動度を求める式を提出し、実際にその値を求めたところ、そのドナン塩は膜内に強く拘束されていることが判った。
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