研究課題/領域番号 |
01540416
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
有機化学一般
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
永瀬 茂 横浜国立大学, 教育学部, 助教授 (30134901)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1989年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 多面体化合物 / 歪みエネルギ- / 高周期元素骨格の特性 / 分子軌道計算 |
研究概要 |
多環状及び多面体炭素化合物は高い歪みエネルギ-と異常な構造と反応性から、有機化学の分野においてその合成は常に注目されている。ケイ素、ゲルマニウム、スズ、鉛は、炭素と同族の元素であるので、炭素化合物に匹敵する、あるいは高周期元素ならではの物性と機能が期待できる。そこで、一連の多面体分子の炭素骨格を同族の高周期元素で置換した時の構造と歪みエネルギ-を理論計算から予測しみると、高周期元素骨格は炭素骨格よりも相当に低歪みになるという興味ある事実が解った。この低歪み化は、多面体を構成する四員環の数が多くなるほどまた置換する元素が高周期の元素になるほど顕著になる。ちなみに、対応する炭素多面体分子と比べてヘキサゲルマプリズマンは40kcal/mol、オクタシラキュバンは60kcal/molも低歪みである。この理論予則に一致して、四員環のみからなるオクタシラキュバンがまず合成され、そして四員環の数は減少するがその代わり更に高周期のゲルマニウムを骨格にもつヘキサゲルマプリズマンが合成され、これらの構造がこの一年の間に相前後して決定された。高周期元素を骨格に持つ多面体分子は、高い分極率や比較的小さなHOMO-LUMOエネルギ-差などに特徴付けられる様に興味ある幾つかの特性を持つことを明らかにした。 しかしながら、三員環を数多く含む時は、低歪み化はほとんどなくその弱い結合性のために結合の伸長が起る。例えば、4個の三員環のみからなるテトラシラテトラヘドランは、ほとんどエネルギ-障壁無しに二つの結合が同時に切れ異性化する。3個の三員環が縮合した構造をもつプロペランでは、高周期の元素になるほど中心の橋頭位間の結合に伸長が起こりビラジカル性を性が現れる。この理論予測に対応する実験の証拠は第五周期元素のスズを骨格にもつペンタスタナプロペランがごく最近合成されそのX線結晶解析より得られた。
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