研究課題/領域番号 |
01540449
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
天然物有機化学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
廣田 洋 東京大学, 理学部, 助手 (00126153)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1989年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | セスキテルペン / 立体選択性 / 配触媒転移 / 骨格転移反応 / 2次元NMR |
研究概要 |
糸状菌Aspergillus terreusから大量に分離・精製したセスキテルペンのterrecyclic acid A (1__〜)を用いて、骨格に大きな歪みを有する化合物特有の特異な反応性の研究および新規骨格への変換反応を行った。 1__〜に存在するα,β-不飽和ケトン部分の還元反応において、1が特異な立体選択性を示すことをすでに見いだしていたが、より詳細な検討を行いこれらの事実を確認し、その要因について考察を行った。次に、この反応の選択性に関する知見を利用して、1__〜を適当な誘導体に変換し、そのC-5位にカチオン(あるいはその等価体)を生成させ、そのカチオンの挙動(骨格転移反応など)を研究した。C-5位カチオン生成の基質として、1__〜の立体選択的還元を含む4段階の反応を経てエポキシジオ-ル(2__〜)を得た。この反応段階中において、異性体の混合物をはじめとする分離の難しい混合物の分離および化合物の純度の確認のため等に、本補助金で購入した分光光度計検出器を装着下高速液体クロマトグラフ(HPLC)を高頻度に使用した。この2__〜にBF_3・OEt_2をベンゼン中で作用させてC-5位にカチオンを発生させたところ、高い歪みエネルギ-の解消を推進力とした骨格転位反応が進行し、単一の生成物としてトリキナン型の四環性ジオ-ル(3__〜)を得た。3__〜は新規骨格化合物であり、その構造に関しては、最新2次元法を含む種々のNMR技法を用いて構造を推定した。しかしながら、すべての炭素-炭素結合を一義的に確定するには至らなかった。そこで、^<13>CH_3CO_2Naから生合成された^<13>C標識の1__〜を用いて、2__〜への変換反応および2の転移反応を行い、^<13>C標識の3__〜を得た。この^<13>C標識の3__〜について、INADEQUATEスペクトルを測定し、3__〜の骨格構造の確認を行った。3__〜と類似の骨格構造を有する天然物が知られており、生合成上の関連について興味がもたれる。C-2位カチオンの挙動に関しては今後の研究課題である。
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