研究概要 |
アンチセンスDNAの化学合成に必要な新しい基礎反応を確立するため、まず5'および3'末端にメチル基を導入する反応を検討した。このメチル化反応は設計合成したアンチセンスDNAが標的DNA分子と結合し二重鎖DNAとなったとき、混在するDNA分解酵素から分解をうけないように5'および3'末端のヌクレオシドの糖水酸基をO-メチル化するものである。糖水酸基を選択的にO-メチル化するため、末端のヌクレオシドとしてチミジンを選び、これを一旦1,3-ベンゾジチオリリウムテトラフルオロボレ-トでピリジン中反応させ5'糖水酸基に1,3-ベンゾジチオ-ル-2-イル(BDT)基を導入し、つづけてラネ-ニッケルで還元し5'-O-トリチルチミジンを得た。3'-O-メチルチミジンの合成も5'-O-トリチルチミジンを同様な方法で反応させたのち脱トリチル化して得ることができた。アンチセンスDNAのオリゴタクレオチド部位の合成はフェニルチオ基をインタ-ヌクレオチド結合のリン酸基の保護基として活用し、上述した5'-O-メチルチミジンと3'-O-メチルチミジンをそれぞれ5'および3'末端ヌクレオシドとして組み込みトリの肉腫ウイルスSar遺伝子に相補的な18量体の保護体を合成した。最終的にすべての保護基を除去しアンチセンスDNA18量体を得た。次に、このアンチセンスDNAに機能性を付与するため、すなわち細胞膜透過性を向上させるため、リン酸基のかわりにエトキンカルボニルホスホニル基に置換したDNAオリゴマ-の合成を検討した。その結果、エトキシカルボニル基を最終的にアンモニア処理でカルバモイルホスホネ-ト基に変換する際一部DNA鎖が切断されてしまうことがわかった。そこで、DNA鎖切断の副反応を防止する目的で種々の一級アミンを用いてN-アルキルカルバモイルホスホネ-ト基に変換しその安定性について現在検討中である。
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