研究概要 |
1.新しい泳動系として、キャピラリ-ゾ-ン電気泳動によるカテコ-ルアミンの分離法に関して研究を進めた。この泳動法においてもカテコ-ルアミンはpH変化のみでは分離出来ない。ホウ酸を添加して、負電荷を有するホウ酸錯体に変換することで9種のカテコ-ルアミンの分離が達成された。(Anal.Sci.,1990,inpress)。 2.「タ-ミナルゾ-ンを錯形成剤供給源とする泳動法」に関しては、中性pH域で電荷を持たないカテコ-ル類およびその類縁化合物を対象として、タ-ミナル電解質にホウ酸を用いこれとの錯形成平衡を活用する泳動分離法を完成させた。(Anal.Sci.,5,(1989),217;J.Chromatogr.,498(1990)205.)。シアンイオンをタ-ミナルゾ-ンにおく泳動系ては多くの重金属イオンをシアン錯体に変換出来るが、貴金属は配位子置換不活性であることから分離に問題があった。そこでPd,Pt,Au,Ag,Niなどのシアノ錯体の分離法として、水-アセトニトリル混合溶媒系で、Fe(phen)_3^<2+>とのイオン対平衡を併用する分離法を開拓した(J.Chromatogra.,427(1989)303)。 3.「メンブランフィルタ-捕集濃縮を併用する高感度化法」としては微量リン酸イオンをモリブドリン酸イオンに変換し、これをbis[2-(5-chloro-2-pyridylazo)-5-diethylaminophenolato]cobalt(III)とのイオン対として、メンブランフィルタ-に捕集し、これをフィルタ-ごとジメチルホルムアミドで溶解し、その有機相を直接試料として注入、泳動分離する方法を確立した。1uMレベルのPO_4^<3->の定量が可能となった。(Anal.Sci.,5(1989)219)。この方法をさらに発展させ、モリブデンとヘテロポリ酸を形成するヒ酸イオン(As)、ケイ酸イオン(Si)、ゲルマニウム酸イオン(Ge)、とリン酸イオンの分離法を開発した。この方法におけるPとAsとの分離能の向上にはリ-ディング液にMG^<2+>を添加し、これとの錯形成平衡の活用が有効であった。(J.Chromatogr.,478(1989)238)。
|