研究課題/領域番号 |
01540468
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
分析・地球化学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
蒲生 俊敬 東京大学, 海洋研究所, 助手 (70143550)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1989年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | メタンガス / 安定同位体比 / 海底熱水系 / 海底冷湧水系 / 潜航調査 |
研究概要 |
海底の熱水系や冷湧水系から海水中に供給されるメタンガスの起源を明らかにするために、メタンガスの濃度を測定すると同時に、メタンの炭素と水素の安定同位体比測定を試みた。海水試料は、沖縄トラフ海底熱水活動域(1986年6〜7月のJAMSTEC「しんかい2000」調査)、相模湾初島沖冷湧水域(7月の淡青丸KT89-11次航海)、および南海トラフ冷湧水域(8〜9月の日仏KAIKO-NANKAI計画)より採取した。メタン濃度はFIDガスクロマトグラフィ-によって測定した。船上で海水より分離した気体試料を保存して持ち帰り、その中に含まれるメタンを酸化銅によって酸化した。炭素は二酸化炭素ガスとして、また水素は水として回収し、それぞれの同位体比をMAT250同位体比質量分析計によって測定した。沖縄トラフ海底熱水は溶存ガス濃度がきわめて高く、その主成分は二酸化炭素、硫化水素およびメタンであった。水温320℃のブラックスモ-カ-試料のメタン含量は約8mmol/kgに達し、東太平洋海膨21°Nにおける海底熱水噴出域での値(0.06mmol/kg)の100倍以上という高濃度を示した。メタンの炭素同位体比(δ^<13>C)は-32〜-42〓、水素同位体比(δD)は-210〜-250〓の範囲の値を示した。炭素同位体比はマグマ起源のメタン(約-15〓)に比べて明らかに軽い値を示し、バクテリア起源もしくは有機物の熱分解によるメタンの寄与のあることが明らかになった。また南海トラフでは、海底直上海水から最高4.0μmol/kgのメタンが検出され、著しくメタンに富んだ冷湧水の供給されていることが実証された。メタンの同位体比はまだ分析されていないが、メタン/エタン比が10^3以上と大きいこと、およびメタンが酸化されて生じたと見られる海底の炭酸塩試料が-40〜-50という軽いδ^<13>C値を持つことから、ここでのメタンガスはバクテリア起源と考えられる。
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