研究課題/領域番号 |
01540484
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
分析・地球化学
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
立川 涼 愛媛大学, 農学部, 教授 (50036290)
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研究分担者 |
河野 公栄 愛媛大学, 農学部, 助手 (50116927)
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研究期間 (年度) |
1989
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研究課題ステータス |
完了 (1989年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1989年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 地球汚染 / 東南アジア / 有機塩素化合物 / 農薬 / 熱帯 / 開発途上国 / DDT / BHC |
研究概要 |
低緯度開発途上国における人工有機化学物質の使用は近年急速な展開をみせ、環境へのインパクト、とくに地球規模の環境汚染と生態系への影響が懸念されはじめている。そこで本研究では、有機塩素系農薬を例に、東南アジア諸国から集めた土壌、底質、大気、水、生物試料の分析を通してその環境動態とゆくえ、さらに地球規模の化学汚染に果たす熱帯域の役割を探り、以下のような成果を得た。 (1)熱帯の農耕地とくに水田に散布された農薬は、その大半が大気や水経由で系外に逸散することを確認した。したがって熱帯における化学物質の寿命は短くなり、そこでの環境残留性は小さいが、広域拡散つまり地球規模の汚染に大きな負荷をもたらすものと結論された。 (2)周年にわたる大気および水試料の採取・分析の結果,一般に有機塩素系農薬は雨期に高濃度分布が認められ、地球規模の農薬汚染に果たす東南アジア諸国の時期的寄与を明らかにすることができた。 (3)熱帯域の土壌および河川や河口の底質の有機塩素化合物残留濃度はきわめて低く、温帯域に比べ農薬等人工有機化学物質の保持能は小さいことが明らかになった。またインドなど一部の国の土壌はモンモリロナイトを多く含んでいるため、水による下層への農薬の浸透はほとんどおこらないことがわかった。 (4)各種生物試料の化学分析値および既存の文献を整理し、農薬汚染の国際比較を試みたところ、DDTの汚染は熱帯域の開発途上国と東欧諸国で顕在化しているものの世界中に広がっているのに対し,BHCの汚染はインドや中国など特定の国に集中していることがわかった。一方工業用材料として利用されたPCBは、先進工業国で汚染が進んでおり、開発途上国の残留レベルは相対的に低いことも明らかにできた。
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