研究概要 |
アセチルコリン,コリン,ヒスタミンなどは神経伝達に関与する生体微量成分として注目されている。そこでこれらに特異性を示すTBPE・Hを用い、定量条件の検討を行った。本来,TBPEは水相に添加するが、本法ではTBPE・H型として1,2-DCEに溶かして用いた。(1)Fig.1に検量線を示す。6.25x10^<-7>M〜6.25x10^<-6>の範囲で良い直線関係を得た。pH10〜11での抽出率が最も高いが、各種アミンのpKとアミンの妨害を考えると、pH11での抽出が適当であると思われる。TBPE・Hの濃度は1x10^<-4>Mとした。コリンは0.5-2.5x10^<-5>Mの範囲で定量できる。又抽出pHは12が最適であった。(2)アミン及び生体関連物質の妨害の程度をTable1に示す。イミダゾ-ル,ノルアドレナリン、ヒスタミン、ヒスチジン,ド-パミンは妨害しない。アミン系医薬品は25℃において妨害するが、測定セル内の温度を45℃に保つとその妨害は抑制される。これはアミン-TBPE・H会合体が僅かな昇温によりサ-モクロミズムを示し、吸光度の減少をもたらすためである。(3)分子識別は抽出過程で起こるのが普通であるが、本法はイオン会合体の有機相でのサ-モクロミズムを利用しており、更に定量の迅速性と選択性の機能をFIAに持たせる試みを行った。この方法は独創的手段に基づくもので、実用性も高まるものと期待できる。ヒスタミンについては次年度に検討する予定である。
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