研究概要 |
1.各種シッフ塩基Co(III)錯体の過塩素酸塩、[Co(SB)(H_2O)_2]C10_4(SB=salen,sal(Me)_2en,sal(Me)_4en,sal-(S,S)-bn,α-Me-sal-(S,S)-bn,sal-(R,R)-chxn),を合成し、DMSO中での酸化還元電位(E_<1/2> vs.SCE)をサイクリックボルタメトリ-により測定した。その結果、E_<1/2>(Co^<III>/Co^<II>)はsalchxn(-105mV)<salen(-81mV)<sal(Me)2en(-50mV)<α-Me-salbn(-30mV)<salbn(-18mV)<sal(Me)4en(+45mV)の順にpositive shiftし、SBのen bridge上にMe基がaxitil方向に1個つくと+50mVのshiftすると言う立体構造相関を見いだした。 2.上記錯体と糖類(グルコ-ス、ソルボ-ス、キシロ-ス、ガラクト-ス)との反応を脱酸素下、NaOH存在のもとH_2O-AN(44:56)混合溶媒中で追跡し、その反応は錯体に1次で糖及びOH^-濃度にも依存する事、見かけの速度定数はK_<obs>=K・A・[OH]/(1+A[OH])に従うことを見いだした。ただし、kは律速過程の速度定数、A=K・K_bで、Kは糖錯体の生成定数、K_bは糖の酸解離定数の逆数を表す。反応の半減期は10分〜100分程度で、k_<obs>は錯体のE_<1/2>に比例し、またガラクト-ス<グルコ-ス<ソルボ-ス<キシロ-スの順に速くなった。糖の鏡像体どうしの差はなかったが、グルコ-スとキシロ-スは錯体上のaxitial Me基によって反応が減速されることが判った。なお、反応は酸素存在下で触媒的に進行するが、生成物の糖酸類が安定な錯体を形成するため、徐徐に失活した。 3.糖の反応生成物をRI検出器を付けたHPLC装置で解析した。その結果、アルド-スの酸化生成物はアルデヒド基の部分がカルボンサンとなった糖酸を、ケト-スの場合はジケトン類を主成分とすることが判明した。なお、10%程度の副生成物類は糖の塩基分解物とその酸化物と推定された。 4.錯体を高分子化しても反応は進行するが、膨潤度が速度に大きく影響することが認められた。
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