研究概要 |
光合成水分解反応を行う光化学系II(PSII)複合体は3種類の膜表在性蛋白質(17kDa,23kDa,33kDa)と反応中心コア複合体(47kDa,43kDa,33kDa(D2),32KDa(D1),Cytochrome b559(Cytb559),数個の低分子量蛋白質)および集光性クロロフイル蛋白質群(29kDa,28kDa,26kDa,24kDa)から構成されている。このうち水分解能を保持する蛋白質構成最小単位は反応中心コア複合体と膜表在性33kDa蛋白質から出来ている。直接水の酸化に関与する水分解酵素複合体の活性中心は4個のマンガン原子からなる錯体であるが、その結合蛋白質は未だ同定出来ていない。また活性中心マンガンに直接結合していないが、このマンガン錯体安定化に必須な膜表在性33kDa蛋白質の結合部位についても異なった見解があった。本研究では、活性中心マンガン安定化に必須な膜表在性33kDa蛋白質の結合部位に関する結果を報告する。水分解能を保持した反応中心コア複合体を比較的穏和な膜可溶化剤を用いて解体し、それぞれ光化学反応機能分子(chla,pheoa,β-corotene,plastoquinoneA,heme)を保持した3種類の副複合体(complex1:47dDa/43kDa/D2/D1/cytb559/低分子量蛋白質、complex2:47kDa/D2/D1/Cytb559/低分子量蛋白質、complex3:D2/D1/Cytb559/低分子量蛋白質)の単離に成功し、これらと膜表在性33kDa蛋白質との再結合実験から、副複合体とこの33kDaの蛋白質の結合には43kDaの蛋白質が必要であることを報告した(昨年)。しかし、再精製した3種の副複合体を用いての結合実験からcomplex3も膜表在性33kDa蛋白質と、弱いながら結合能を持つことが明らかとなった。現在、マンガン原子を除去した反応中心コア複合体と、最初架橋剤を結合させた膜表在性33kDa蛋白質とを架橋させた複合体を作り、水分解活性中心への光再活性化によるマンガン原子の取り込みに関する予備実験進行中である。
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