研究概要 |
シロザのクロロフィル分解機構の解析およびその分解過程で重要な役割を果たしている未知の酵素,クロロフィリドーMgーデキレタ-ゼの存在について検討した.クロロフィルの分解産物を経時的に分析したところ,クロロフィリド,フェオフォルビド,ピロフェオフォルビドの順序で出現し,生体内と異なり,最終産物としてピロフェオフォルビドが蓄積して来ることがわかった.このことから,シロザ抽出液でのクロロフィルの分解過程は下記の順序で起こること考えられる. (1) (2) (3) クロロフィル ーー→ クロロフィリド ーー→ フェオフォルビド ーー→ ピロフェオフォルビド さらにこれらの反応を触媒する酵素系については(1)の反応では,水溶性のクロロフィラ-ゼが多量に存在すること.(2)の反応はMgによって強く阻害されることからその存在が示唆されており,(3)の反応はカルボメトキシラ-ゼによるもので,この活性が存在することは実験的に確かめられている. ミカンの果皮抽出液と基質としてラベルされたクロロフィルを用いた実験でもこの結果を確認した.クロロフィルは加齢した生体内で分は無色の物質まで分解されるが,抽出液では何故ピロフェオフォルビドが蓄貯して来るのであろうか.この問題は反応抽出液中に阻害剤が存在するためであることが抽出液を分画することにより明らかになった.また分解酵素はイオン交換クロマトグラフィ-等により精製が進んでおり,フラビンを含むベルオキシダ-ゼ型の未知の酵素であることがわかった.
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