アグロバクテリウムの持つオ-キシン、サイトカイニン生合成遺伝子を用いてこれらホルモンの作用機作を探ることを目的とする。 1.タバコ、ペチュニアを被検体とし、Tiプラスミドバイナリ-ベクタ-pGA580を持つアグロバクテリウムを感染させ、カナマイシン抵抗性の再分化個体を得た。さらにサザンハイブリダイゼ-ションにより目的とする遺伝子が植物ゲノムに組み込まれてたことを確かめ、形質転換および再分化の系を確立した。 2.ポプラ、リンゴ、ナシのクラウンゴ-ルから腫瘍誘発能のあるノパリン型アグロバクテリウム18株を分離した。次にこれらのTiプラスミドからTーDNAを大腸菌ベクタ-puc19ヘクロ-ン化した。これらは完全なオ-キシン、サイトカイニン遺伝子を含んでいた。数種のクロ-ンの比較から、TーDNAは見掛け上3つのドメインに分かれた。一つは腫瘍形成に必要でオ-キシン、サイトカイニン遺伝子を含む右半分、二つ目は機能不明な左半分で両者とも構造はよく保存されていた。最後は前者2つの中間部であり、DNAの長さは各TーDNAに特異的であった。 3.これら3つのドメインをそれぞれ別々にベクタ-pGA580へクロ-ン化し、アグロバクテリウムに導入した。これをタバコに感染させ、形質転換体を作成中である。これら組織をホルモン存在下、非存在下で育て、両条件におけるTーDNA上の遺伝子の発現の違いを調べる予定である。
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