研究課題/領域番号 |
01540575
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
植物形態・分類学
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
加藤 雅啓 東京大学, 理学部, 助教授 (20093221)
|
研究期間 (年度) |
1989 – 1990
|
研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
|
配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1990年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1989年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
|
キーワード | 被子植物 / 原裸子植物 / ハナヤスリ科 / 心皮 / 胚珠 / 葉下偏生長 / 2次維管束 / 幼形進化 / 下偏生長 / 幼形成熟 / 比較形態学 / 形態形成 / 相同性 / グロッソプテリス |
研究概要 |
1.生きた原裸子植物であると推定されるハナヤスリ科に所属するミヤコジマハナワラビについて2次維管束の有無を調べ、ハナワラビ属との比較を行った。茎頂が破損し側枝が生じている茎において、茎頂から側枝の出る位置にかけて、1次木部の外側に放射状に配列する柔細胞と仮導管が存在した。この組織は完全な茎では現われず、2次的に生じたものである。細胞配列からみてこの組識はハナワラビ属の2次維管束と基本的に同じものであると推定される。他の証拠から、ハナヤスリ科の中でハナワラビ属が最も厚始的で、ミヤコジマハナワラビは比較的特殊化した群である。本研究によって、ハナヤスリ科はもともとは2次維管束をもっており、ミヤコジマハナヤスリではそれが一時に痕跡的にあらわれ、ハナヤスリ属ではほとんど生じないことが確められ、ハナヤスリ科が原裸子植物であることがより支持された。 2.被子植物の心皮の起源を明らかにする目的で、それとハナヤスリ科の胞子葉の比較を試みた。心皮の葉状の心皮壁の向軸面辺縁部に倒生胚珠をつけるのに対して、ハナヤスリ科胞子葉では生殖部が栄養部の向軸側につき、しかも発生初期では両部とも2つ折りにたたまれ胞子嚢が栄養部の方を向く。胚珠の発生の仕方は葉と類似することが知られている。これから心皮はハナヤスリ科胞子葉のような立体的構造を示すものから生じ、胚珠は胞子嚢ではなく生殖部と比較できその倒生性は葉の下偏生長と相同であるという「ハナヤスリモデル」を提唱した。このモデルによると、被子植物の心皮は原始形態の幼形進化によって生じたことになる。今後、裸子植物化石や原始被子植物の花構造の比較形態学的研究によって被子植物の起源と初期分化が一層明らかになると期待される。
|