研究課題/領域番号 |
01540576
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
植物形態・分類学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
河野 重行 東京大学, 理学部, 助手 (70161338)
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研究期間 (年度) |
1989 – 1990
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研究課題ステータス |
完了 (1990年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1990年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1989年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | ミトコンドリア / ミトコンドリア融合 / ミトコンドリア核融合 / プラスミド / 片親遺伝 / mtDNAの組換え / mtDNAの制限酵素地図 / Physarum polycephalum / 真正粘菌 / ミトコンドリアDNA / ミトコンドリア核 |
研究概要 |
真正粘菌は同型配偶子(アメ-バ)を持ち、異なる交配型同士が接合し変形体(2n)になる。ミトコンドリア非融合株同士の交配の場合、ミトコンドリア染色体(mtDNA)は変形体に片親遺伝する。これに対し、いずれかのアメ-バが「ミトコンドリア融合を誘起するプラスミド」を保有するミトコンドリア融合株の場合には片親遺伝は起こらず、プラスミドの優先的な伝達とmtDNAの高頻度組換えが起こる。これは、接合子内でミトコンドリアの融合が起こり、プラスミドDNAが優先的に変形体の全ミトコンドリアに伝達されるためと考えられる。そこで、アメ-バの接合期におけるミトコンドリアとミトコンドリア核の挙動をDAPI蛍光顕微鏡法を用いて経時的に観察した。アメ-バは1個の細胞核とミトコンドリアを10個前後持っている。ミトコンドリアは「単核」で、長さが1ー2μmで直径約0.2μmの棒状のミトコンドリア核を1本持っている。アメ-バが接合すると接合子内で大部分のミトコンドリアは融合し、その後ミトコンドリア核も徐々に融合し、紐状あるいは環状になることを見いだした。さらに融合が進むと1本の巨大な棒状のミトコンドリア核(長さ4ー5μm、直径約1μm)になる。細胞内にはこの巨大ミトコンドリア核以外に他のミトコンドリア核は観察されず、すべてのミトコンドリア核が一箇所で融合するものと考えられた。その後、ミトコンドリアは何回か分裂を繰り返し、通常の大きさのミトコンドリア核を持ったミトコンドリアに戻った。このような融合はプラスミドを失った株あるいはプラスミドの一部を欠損した株では極く低頻度でしか起こらなかった。これは、接合子内におけるミトコンドリア融合を制御する遺伝子(mif)をプラスミドの特定の領域が持っていることを意味している。また、組換え体mtDNAの制限酵素地図を作成し解析したところ、ミトコンドリア核融合によるmtDNAの高頻度組換えはmtDNAへのプラスミドの挿入によるものであることがわかった。
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