研究概要 |
1.細胞質及び核内にみられる仁様小体の起源に関する研究 ユリの減数分裂細胞で,仁蛋白質を特異的に検出するRNP選択的染色法を施こし,電子顕微鏡で詳しく調べたところ,前期から中期に至る過程で分散した仁物質が中期以降に小塊を形成し,さらに,それらが融合をくり返して終期の始めに仁様小体が形成されることが分かった。又後期に,染色体表面に蓄積した仁由来物質も時を同じくして,全く同様にして核内に仁様小体を形成することが分かった。 2.仁由来物質におけるRNA検出の試み (1)RNaseーgoldラベル法による結果 ソラマメ根端の体細胞では,細胞質仁様小体及び染色体表面上の仁由来物質のいずれも有意にラベルされるという結果は得られなかった。ユリの減数分裂細胞では,核内仁様小体は比較的強くラベルされたが,細胞質仁様小体のラベルは細胞質のラベルの2倍程度であった。 (2)rDNAプロ-ブによるin situハイブリダイゼ-ション ユリの減数分裂細胞で,細胞質仁様小体が強くラベルされることが分かった。RNaseーgoldラベルによる結果と合わせるとこの小体はRNAを含む。 3.仁由来物質におけるDNAの検出の試み ソラマメの根端細胞では,細胞質仁様小体及び染色体表面上の仁由来物質のいずれも抗DNAモノクロ-ラル抗体でラベルされなかった。 4.細胞骨格形成阻害剤による仁由来物質の挙動に及ぼす影響 コルヒチン処理すると,中期において,細胞質仁様小体の形成及び染色体表面への蓄積が起こる。又,アクチンフィラメント阻害剤であるサイトカラシンβで処理すると,細胞質仁様小体が異常に増加した。 5.連続超薄切片に銀染色を施こすと,嬢核内に取り込まれた仁由来物質は,ヌクレオロネマに入ってゆくことが示唆された。
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