研究概要 |
本年度は、有明海の潮間滞砂質堆積物と茨城県阿宇ケ浦海岸の更新世潮汐堆積物を調査し、茨城県玉田海岸の現世海浜砂の堆積様式についてまとめた。その結果は、茨城大学教育学部紀要(自然科学)40号に報告されている。 1.有明海の湾奥部では泥質堆積物の干潟がよく発達し、湾口部に近い熊本県沿岸に砂質堆積物が広く分布している。 宇土半島戸口浦海岸には、波長20m程のintertidal sandbarが10数列認められる。その軸は多少展曲しているが全体として海岸にほぼ平行である。このsandbarの直上には、満潮時の風波によって形成されたウェ-ブリップルが見事に発達している。ウェ-ブリップルの峰線は風向に対し直交し,sandbarの軸方向とは明らかに斜交している。ウェ-ブリップルは、低潮位に向う時波によってその形態が変形する。sandbarの海側斜面では、鋭く突き出ている峰部が海水面上の出る直前の弱い波によって侵蝕され、扁平な峰となる。これに対し、sandbarの陸側斜面では、水面上に出る直前に、波がsandbarの峰によって遮断されるため、ほとんど変形を受けず,突出した峰を保存している。この事実は,sandbar上のウェ-ブリップルの形態から海方向を推定する根拠となる。この変形過程やsandbarの成因などについて平成3年度も調査を継続したい。 2.茨城県阿字ケ浦海岸近くの更新続からステップ堆積物を発見した。このステップ堆積物は,沿岸州が浅海から移動して浜に付着した時に形成されたものである。高さ外十cmから1.5mほどのステップ堆積物が海方向に次々とおおわれており,海水面上昇時に形成されたことがわかる。ステップ堆積物の記載は非常に少ないので、資料を整理して報告したい。
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