研究概要 |
1.板皮類の皮甲化石:1988年に,岐阜県上宝村福地の福地層群(下部デボン系)から発見された板皮類の皮甲はアカントトラキ類の〓板であり,カナダ産のRomundina stellina に似ていることから,Romundima sp.として報告することになり,大倉正敏氏と共同で論文を作成中である。 2.古生代の軟骨魚類歯化石:岐阜県上宝村福地の一の谷層群(中部石炭系)産のペタロダス類は,Petalodus allegheniensis,?Chomatodus sp.,?Janassa sp.に同定された。また,アメリカ合衆国の上部石炭系産のエデスツス類のEdestus heinrichiの正中歯列について,形態学的検討をおこなった。さらに,同村福地の水屋ケ谷層群(下部ペルム系)産のペタロダス類はPetalodus allegheniensisに,岐阜県大垣市赤坂町の赤坂石灰岩累層(中部ペルム系)産のコクリオダス類はSandolodus sp.に同定された。 3.中生代の板鰓類歯化石:京都府夜久野町の夜久野層群(トリアス系アニス階)産のHybodus sp.,同町の難波江層群(トリアス系カ-ルイア階)産のAcrodus sp.,宮城県志津川町の志津川層群(ジュラ系ヘッタンジュ階)産のAsteracanthus sp.について形態学的特徴を記載・報告した。 4.新生代第三紀の板鰓類歯列の復元:第三系から多産する化石巨大鮫Carcharocles megalodonの歯列を復元し実物大の顎模型を富山市科学文化センタ-に展示した。また,福井県産のアオザメ属歯化石を報告した。 5.軟骨魚類の歯牙組織の進化:現生・化石の軟骨魚類の歯の形態学的・組織的研究により,古生代から現世までの変遷過程を明らかにし,歯の形態や組織構造(象牙質の種類)は,進化のレベルよりも生態・食性への適応が強くみられることを解明した。
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