研究概要 |
超微粒子の研究が始まって30年以上になるが,その応用に成功した例は多くない。その原因は超微粒子の取り扱い方法(ハンドリング技術)が確立していないことにある。ここでは,超微粒子を種々の有機媒質中にサスペンドさせることによってこの問題を解決しようと努力した。有機媒質として,ラングミュア膜を利用すれば,超微粒子を2次元的に配列できることを期待したが,物性値を測定できる程度に大きな領域で配列した試料は今のところ得られていない。超微粒子がランダムの有機媒質中に分散した系,および,超微粒子が基板上にランダムに堆積した系を作りだし,その光電的性質,ガス吸着応答,フオノン物性などを実験的に研究した。 上述の系は現在の物理学の中では,不均質・不均一系としてとらえることができ,応用的見地のみならず純粋学問的にも極めて興味深い研究テ-マになっている。金属超微粒子と有機媒質という複合系を考えたが,ラングミュア膜それ自体が一種の不均質系であることに注目し,また,ラングミュア膜中でのフオノン伝導,電気伝導等の運動学的性質が微視的によく分っていないことを考慮して,その計算機シミュレ-ションも当該研究の重要な作業項目として追加することにした。超微粒子のサイズとアモルファス系での中距離相関がほぼ同程度であることから,超微粒子との堆積系の構造はアモルファス構造と関連していると考え,アモルファス系での電気物性の実験も当該研究と平行して行い,両者の実験結果を比較検討した。
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