研究概要 |
Pd/Co,Pt/Co多層膜は、多層膜化により垂直磁気異方性が見いだされ、磁気記録材料として注目を集めている材料である。本研究では光磁気記録材料としての応用の面から、これら多層膜をスパッタ法により作製し、その磁気光学効果の測定を行なった。Pd/Co,Pt/Co多層膜のカ-回転角スペクトルは磁性層(Co層)のカ-回転スペクトルとは大きく異なり、PdCo,PtCo合金のカ-回転スペクトルとよく似た形状を示した、すなわちPdCo,Ptco合金ではPd及びPtの磁気分極によりカ-回転は短波長側(350nm〜400nm)でピ-クを持つものであり、多層膜の場合も多層膜界面でのCoとPd,Pdとの接触(合金化)の効果が顕著にカ-回転に反映されていることがわかった。カ-回転角の周期依存在性からも界面での合金層の存在が確認された。垂直磁化膜が得られる周期が10〜20A^^°の多層膜では、短波長でのカ-回転は合金の値に近く、短波長光を用いた超高密度光磁気記録への応用化があることがわかった。 多層膜界面での多重反射による干渉の効果について、計算シュミレ-ションから検討を行なった。その結果、干渉の与えるカ-回転への影響は小さいことがわかった。これはCoとPd,Ptとの光学定数の差が小さいことによる。 Pd/Co,Pt/Coの多層膜の磁気特性を系統的に調ベるためにIr/Co,Rh/Co多層膜の磁気特性を調べ、両者の比較を行なった。Ir/Co,Rh/Co多層膜のカ-回転スぺクトルは、単調な形状となり、多層膜中のCoの磁気光学効果のみを反映したものと一致し、Pd/Co,Pt/Co, 多層膜でみられたような貴金属原子の磁気的な相関はIr/CoやRh/Coでは小さいことがわかった。
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