研究概要 |
成長速度の基板温度依存性:基板温度800℃を境にして活性化エネルギ-(Ea)が異なっている。高温側ではLPCVD,PCVDとも殆んどEaは変らないが低温側ではLPCVDよりもPCVDの方がEaは小さな値となった。したがって高温側ではLPCVDとPCVDの反応機構は同じであるが、低温側では異なることが判明した。光照射の効果は高圧水銀ランプの照射下で調ベたが,高温側,低温側ともに成長速度への寄与は見られなかった。 成長速度の反応ガス流量依存性:まず,アセチレン流量を一定にしてジシラン流量を変化させた。1000℃ではジシランの増加とともにその濃度の2乗で変化しているのに対して,750℃では1乗で変化している。次に,ジシラン流量を一定にしてアセチレン流量を変化させたが高温でも低温でも成長速度は一定であった。これらのことより成長速度はジシランの流量で律速されていることが判った。 反応種の同定:質量分析機によって原料ガスの分解過程の基板温度依存性を調べた。ジシランは70℃から分解し始めSiHxが生成される。これに対してアセチレンは600℃から1000℃まで殆んど変化しておらずCHxのような化学種を生成していないことが判った。 光・プラズマ2重励起の効果:プラズマ励起中に水銀ランブの紫外光を照射したが単結晶成長の可能な高温域では原料は基板温度によって分解してしまい,光照射の効果は表われなかった。基板温度400℃では光照射による成長速度の増加が見られたが成長膜はアモルファスであった。単結晶は950℃で成長し,低温成長が実現できた。 今回の光照射の光源は高圧水銀灯を用いたが波長254nmの光では十分に原料ガスの分解ができない。今後より短波長で強度の強いエキシマレ-ザなどを用いることにより,低温成長への光の寄与が増す。
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