研究概要 |
[1]PMMA中を数百m/sの高速で進展するき裂と、そのき裂のコウスティック光とのホログラフィ同時記録を行ない、高速進展き裂先端に現れる3次元応力場の広がりを測定した。その結果を以下に示す。 1.高速進展き裂先端に現れる3次元応力場は、き裂先端から、板厚の半分程度の距離まで広がっている。これは、清水,高橋,佐々木,島田、及び、Rosakis and RaviーChandarが行った静止き裂の実験結果と一致する。 2.3次元応力場の広がりはき裂速度には依存しない。 [2]PMMA中の高速進展き裂の開口変位とき裂前縁角の同時計測を行った結果、次の知見を得た。 1.進行き裂の開口変位は、試験片表面では、3次元応力場の中でも〓r(rはき裂先端からの距離)に比例する。すなわち、進行き裂3次元応力場の表面特異性は1/〓rである。 2.き裂前縁は曲線であり、き裂前縁角は鈍角である。き裂速度が小さいときには、き裂前縁角はBazant and Estenssoroが示した数値結果と一致する。しかし、き裂速度が増加するにつれて、き裂前縁角は直角に近づく傾向がある。このき裂前縁角の変化は、表面特異性を1/〓rに保つよう起こっているものと推察される。 [3]高速進展するき裂の開口変位の3次元測定法が開発された。これは、3次元応力場の特異性に関する実験的研究の遂行途上で新たに生み出されたアイディアを実現したものであり、以下の結果を得た。 1.進行き裂の開口変位は、試験片表面においても、また試験片内部で板厚方向中央の面においても、〓rに比例する。 2.進行き裂の場合、動的応力拡大係数は、試験片表面と試験片内部とで、ほぼ同じ値を持つ。
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