研究概要 |
ポリシング機構の研究において,固定砥粒方式による各種機料の研磨の基礎的資料を得るため錫ボンド砥石の作製を行った。マトリックスに錫を選定したのは,摩擦抵抗が少なく軟質で工作物の損傷を極小に押さえることが期得されるためである。錫ボンド砥石の製作の前例はなく,まず分散めっき法を利用して電解条件を決定することでCBN#3000の砥石を作製し評価を行った。その結果,SKD11機に対して,0.06μmRmaxの表面加工面が得られ,砥粒を微細なものにすることでブロックゲ-ジ面の域に達することが可能である知見を得た。次に,セグメントの生産性を考慮して粉末冶金法による成形法を検討した。その為の成形条件,焼結条件を決定し,中210mm,CBN#3000,集中度50の定盤を作製することに成功した。本定盤を用いた研磨結果は,従来の実験結果より研削迷度が幾分低下するもので,ケミカルな母地の溶解を行うメカノケミカル加工を考慮することによって良好な結果を得ることが出来た。更に,ダイヤモンド砥石,#5000を作製し,錫ボンド砥石の研磨の基礎的事項について検討を加えた。従来シリコンウエハの研磨に多く使用されているラップ液を用い,研磨実験を行った結果,0.05μmRmaxのスクラッチフリ-の表面が得られ,研削迷度もメカノケミカル加工を加えることで,その能率が向上するとの知見を得た。以上の実験結果より,錫ボンドによるCBN,ダイヤモンド砥石は,固定砥粒方式でもスクラッチフリ-をぜい性物のシリコンウエハ-で得ることができ,工業的応用が可能でその発展性に期得のもてるものであった。
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