研究概要 |
平成元年度において,ガラス織維強化プラスチックの切断におけるコンプライアンスの周波数特性や限界切断力の存在等の知見をえて,複合材料の超音波振動穴あけの実験に移った.その結果,超音波振動をドリルの送り方向に加え,本研究の過程で開発したラジアルペリフェラルリップドリルを用いることにより,穴出口のばり,かえり,裂け,変質等を抑止できることを見出した。 平成2年度においては,前年度の成果をふまえ,塑性材料の穴あけにおけるばりの防止に超音波振動穴あけが有効であろうと推論して実験を行なったところつぎのような成果をえた. 1.アルミニウムの穴あけに超音波振動を加えることにより,複合材料に対してと同称平均のスラスト荷重が数分の1に低下する. 2.アルミニウムの穴あけに超音波振動を加えた場合,振動振幅約13mum以上にやいて穴出口のばりは格段に抑止できる. 3.標準ドリルにおいても超音波振動振幅が約13mum以上であれば可成りばりを抑止することができる.一方,超音波振動を加えないか,加えてもその振幅が約7mum以下の場合は本研究過程で開発したラジアルペリフェラルリップドリルの効果が極めて大きい. 4.本研究においては,超音波振動を加える方向が,従来の超音波切削の場合と異なり送り運動方向であるため工作機械の構造が極めて簡単になるため本手法の実用性は高いものと考えられる.
|