| 研究概要 |
本研究課題は,静圧気体ジャ-ナル軸受を対象にし,回転精度特性と軸受製作精度の関係を検討し,より高性能な気体軸受の精度設計の指針を明らかにすることを目的としたものであり,得られた主な成果は次のようにまとめられる。
1.点状給気孔からの拡がり効果を考慮に入れた,すきま内圧力分布を解析するための修正ダイバ-ジェンス・フォ-ミュレ-ョン法を定式化し,これをもとに,各種製作誤差の影響を考慮に入れて軸受の回転精度特性・軸受基礎特性を解析するプログラムを製作した。
2.回転精度を支配すると考えられる軸受製作誤差として,軸の真円度誤差および給気孔径寸法相互誤差をとりあげ,このような軸受系で軸が回転したときに生じる気体膜力変動が〓振力となって軸心の振れが発生すると考える回転精度解析モデルを提案した。そして,軸回転速度が低い場合の「静的回転静度」と軸回転の影響下での「動的回転精度」によって回転精度特性を把握し,両者の関係を明らかにした。
3.従来静圧気体軸受の設計に用いられる軸受剛性最大の設計規準は,回転精度特性からみた軸受精度設計の観点からもほゞ満足すベき条件になっていることを明らかにした。
4.給気孔寸法相互誤差は,軸の定常偏心量に影響するが,回転精度特性には第二義的にしか影響しない。
5.回転精度は軸の真円度誤差によって支配され,特に軸真円度誤差分布をスペクトル分析したとき,(給気孔数+1)次の成分の誤差の影響が重要であることを明らかにした。
以上の成果をもとに,本研究で確立した手法により,回転精度からみた気体軸受の精度設計のための理論的背景を与えることができると考える。
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