研究概要 |
2年にわたる研究の主な成果は次のとおりである。 (1)豊富な酸素原子を含む空気プラズマ噴流発生装置を試作した。プラズマト-チは,酸素による電極の損傷を軽減するためにハフニウム陰極を用いた。予備実験から,プラズマ芯の長さは2〜6cm,温度は4000〜9000Kで非平衡プラズマ流と物質の干渉実験が可能であると判った。 (2)詳細な非平衡反応と放射理論を適用し,強い空気衝撃波背後の熱流体の挙動を数値計算した。約30以上のマッハ数では,電子の温度と密度の挙動に乖離が生じ,その放射特性はピ-ク状の非平衡領域を含む特徴的な分布を示した。この現象は他者により実験的に確かめられた。 (3)低密度岐点衝撃層において,非平衡解離速度,振動緩和の断面積,振動ソ-ス項などが熱流体パラメ-タや熱移動に及ぼす影響を数値的に検討した。それらは放射加熱関連の流れ変数には重大な影響をもつが,岐点対流熱伝達率にはあまり影響を及ぼさないことが判った。 (4)O_2,N_2,NO及びC_2分子の解離に対して,最近の有効結合エネルギ-モデルに基づき,高層大気中の飛翔体周りに発生する極度の熱化学的非平衡状態においても適用可能な解離反応速度との有効解離エネルギを計算し,簡単な表式で表現した。 (5)超音速噴流にモアレシュリ-レン法を適用し,その可視化と構造の研究を行なった。軸対称円形ノズルと正方形ノズルからの不足膨張流を測定し,筆者らの変換法を適用して三次元的構造まで明らかにした。 (6)Maecker型プラズマ発生装置で空気プラズマからの非平衡放射の予備的研究を行なった。本装置では圧力と放電電流に依存して,温度が6000〜10000Kの非平衡空気プラズマが生成されること,比較的低温度ではN_2の分子バンドが,高温ではNとOの放射が卓越していることが判った。
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