研究概要 |
本研究の目的は,化学反応を伴う気流を模擬するための差分法による数値計算手法を開発することにある.対象とする流れ場は,強い衝撃波を伴う高速流や超音速燃焼流のような,化学反応と流体運動との相互作用が著しい流れ場である.このような超音速反応流では,衝撃波と境界層との干渉に衝撃波と反応過程との干渉が加わり,極めて複雑な流れ場が形成される事が予想される.平成元年度には,衝撃波と境界層との干渉を模擬できる数値計算手法を開発し,反射衝撃波と側壁境界層の干渉のシミュレ-ションを行い、本方法が衝撃波と境界層の相互作用の本質的な部分を模擬できる事を示し,理想気体に対する計算手法を電離気体に適用し,電離反射衝撃波が分枝衝撃波に発達する現象のシミュレ-ションを行った.平成2年度は,燃焼性気体に対する数値計算手法の開発を行った.今回開発した方法は,反応系の反応速度および反応熱開放割合を正確にモデル化した反応項を含む薄層ナビエ・スト-クス方程式をFCT法およびクランク・ニコルソン法に反応ステップを結合した方法を用いて数値計算する事により燃焼反応を伴う気流のシミュレ-ションを行うものである.本方法を適用して,水素酸素混合気体における反射衝撃波によるデトネ-ション開始現象のシミュレ-ションを行った。従来行われてきた実験と比較し,本方法によるシミュレ-ションによって,デトネ-ション開始現象の特徴がとらえられる事が確かめられ,燃焼性気体のシミュレ-ションに有用である事が示された.
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