研究概要 |
今日まで磁気軸受に関する研究は多くなされているが,適用分野が宇宙機器など特殊な分野であったためロ-タは小型軽量で剛体と仮定できるものであった。しかし,磁気軸受の需要は今日一般産業用機器に広がりつつあり大型弾性ロ-タがその対象となっている。ここで問題となるのは,第一に,大型重量ロ-タをいかに効率よく支持するか。第二に,複数の弾性曲げモ-ドをいかに効率よく制御するかということである。すなわち,最小のエネルギで弾性モ-ドを制御する弾性ロ-タ磁気軸受系の最適設計・制御実現の課題である。 本研究は以上の問題意識に基ずいて,最大限の受動型磁気軸受(永久磁石)の利用と最小限の能動型磁気軸受(電磁石)を用いる弾性ロ-タ用ハイブリッド磁気軸受の設計・試作・動特性解析・浮上等の実験的研究を行った。 研究を大きくスラスト軸受とラジアル軸受の研究と2つに分け,スラスト軸受は永久磁石のみによる受動型磁気軸受として設計・製作し,軸受動特性を解析した。ラジアル軸受は受動型と能動型のハイブリッド磁気軸受方式とし,いわゆるゼロパワ-方式を実現した。ゼロパワ-方式とはロ-タ自重に相当する重量はすべて永久磁石の吸引力で支持するためわずかの制御電流のみによって磁気軸受系が実現する方式のことである。本研究の段階は4軸制御形ラジアル磁気軸受には至っていないが,一軸制御方式の完全な実現により4軸制御の段階での回転試験に対し重要な基礎と見通しを与えた。
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