研究概要 |
BNチュ-ブの中にタングステンのフィラメントを通し,その中に水素ガスを流すようにした簡単なクラッキングセルを製作し,フィラメントを約1500℃に加熱することにより水素原子を発生させ,GaAs基板表面のクリ-ニング効果,エッチングおよび分子線エピタキシャル(MBE)成長の異方性に及ぼす影響を調べた。その結果次のことが明らかになった。1)400℃,6x10_<-6>Torrの背圧で,水素原子を照射することにより,酸化膜の付着したGaAsの基板表面がクリ-ニングされ,短時間(5分以下),低温で明瞭な反射高速電子線回折像が得られた。水素分子線を熱クラッキングしない時にはこの効果は観察されなかった。2)10ミクロン角のメサパタ-ン状に加工したGaAs基板上に水素原子を照射しながらMBE成長させ,パタ-ンの形状変化から成長の異方性を観察した結果,〔001〕方向では水素原子照射によって僅かに(数%)横方向成長速度が減少するのに対して,〔11^^ー0〕方向では約30%に減少することが見出された。この原因として水素原子照射によるエッチングの可能性が考えられる。これを確認するためい,水素照射前後におけるパタ-ンエッジのプロファイルを観測した。その結果,(〔11^^ー0〕では,Asで終端された側面のステップエッジの部分がエッチングされやすく,側面がなだらかになっていることがわかった。一方〔110〕ではパタ-ンプロファイルの変化ははっきり現れなかった。
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