初年度に於ては、Siウェ-ハの表面状態の評価を行なうのに、10GH_Z帯のμ波をプロ-ブとして、Siウェ-ハに波長633mmのHeーNeレ-ザ光でキャリアを注入するシステムを完成した。この方法は、マイクロ波系とSiウェ-ハのインピ-ダンス整合が取れる事が必要である。しかし、現実には注意深く実験を行うことにより、Siウェ-ハ表面の汚染や残留レジストの観測を可能にした。平成2年度には、HeーNeレ-ザ光源の他にもう一本のレ-ザ光(YAG レ-ザ、λ=1060nm)を並用することにより、μ^ー波系とSiウェ-ハ間の“インピ-ダンス不整合"を除去する方法を確立した。HeーNeレ-ザ光は、Siウェ-ハへの浸入深さが約3μm、YAGレ-ザ光は、Siウェ-ハへの浸入深さが約500μmとなり、HeーNeレ-ザ光では表面附近のキャリアの再結合過程が支配的であり、YAGレ-ザ光ではSiウェ-ハ内部でのキャリアの再結合過程が支配となる。Heー0Ne光及びYAG光照射時に得られる反射μ^ー波信号強度をそれぞれSRM1及びBRM1とした。また“BRM1ーSRM1"値を“RーSRM1"とすると、RーSRM1はSRM1及びBRM1に同じように含まれる“インピ-ダンス不整合"を除き得ることを示した。YAGレ-ザとHeーNeレ-ザを交互に照付することによって、LSIのウェ-ハ工程の中で次にかがげる様なきわめて夛岐にわたる評価が可能である。(a)受け入れSiウェ-ハのの検査、(b)Siウェ-ハ表面の汚染パタ-ンの評価 (c)Siウェ-ハの酸化工程及ぴドライ・エッチング工程の評価、(d)イオン注入及び活性化工程、(e)不純物の拡散及びシリサイド形成工程の評価などである。これらの評価結果の一部分はIEEE国際会議マイクロエレクトロニックス部門で招待講演を行った。
|