研究概要 |
本研究では対向タ-ゲット式プレ-ナマグネトロンスパッタスパッタ装置を製作し,実際に窒化アルミニウム膜(AIN膜)と酸化亜鉛膜(ZnO膜)を作製し,得られた膜の評価から本方式の有効性とその問題点を検討したものである. まず,AlN膜への適用において,窒素雰囲気ガス中で10^<ー4> Torr台の低ガス圧まで放電可能なことを示した.得られたAlN膜のC軸配配向度はかなり高く,作製時のスパッタ条件の設定も容易で,かつ基板温度が50℃の低い温度でC軸配向膜が得られるなど本スパッタ方式が有効であることが確認できた.装置の問題点として,10^<ー3> Torr台においてはcー軸配向性の高い膜が得られるが,1×10^<ー3> Torr以下の低ガス圧ではC軸配向性の低下や,膜の着色並びに膜の剥がれ現象が見られることを示した.この原因は,膜の光透過率やエネルギ-分散Xー線スペクトロスコピ-法による組成分析から,過剰のN原子が膜中に取り込まれているためであるという結果を得た.これは低ガス圧では窒素イオンが膜中へ打ち込まれているためと考えられる.さらに,斜め対向タ-ゲット式スパッタ法によるAlN膜作製を試みた.その結果,C軸配向性の高い膜を得るには基板面に平行な磁界がある程度強くなければならないが,これはプラズマと基板との接触がAlN膜形成に影響することを示している. 次に,ZnO膜作製への適用例として,斜め対向タ-ゲット式スパッタ法によりO_2ガス中でZnタ-ゲットをスパッタした.高速酸素イオンや酸素原子による膜衝撃を避けるようにタ-ゲットと基板の配置に工夫すればC軸配向性の高い膜が作製できることがわかった.斜め対向タ-ゲット式スパッタ法で高品位ZnO膜を作製する場合,タ-ゲットの傾角をあまり大きくできない.
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